〜野村の40年近くにおよぶ活動を、写真、立体、 インスタレーションなど約130点の作品で振り返る、 東京では初めての大規模な回顧展です〜 |
会期: 2009 5/27(水)〜7/27(月) 展覧会は終了しました。 休館日:毎週火曜日 開館時間:10:00〜18:00、毎週金曜日10:00〜20:00(入場は閉館の30分前まで) 会場:国立新美術館 企画展示室2E |
私たちの日常的なものも見かたや捉え方を覆し、新しい世界観を提起する、それが野村仁の作品の大きな特徴です。
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T万物は流転する―変化する相への眼差し 「物が在る」と聞くと、私たちはある物体が姿や形を変えることなく一ヶ所に静止している状態をイメージしがちです。しかし、本当にそうでしょうか。野村仁は、ドライアイスがゆっくりと昇華し、様相を変化させながらついには消えていく様子を写真で記録していきます。そして、自分の身体の外側の世界が、「物が在る」ことによって成り立っていると考えるならば、世界は時間と相の連続と重なりによって出来上がっているともいえそうです。野村仁の作品は、私たちが当たり前だと思っている「自分が見て感じるものが『世界』である」という考え方に風穴を開けます。 U自然に寄り添い、宇宙のリズムに従う 野村仁は、太陽や月を観測するうち、その運行の軌跡が美しい形を創り出すことを知ります。しかもそれは、生物の細胞の根源を成すDNAの形とも似ています。また、月の運行、空を群れ飛ぶ鳥たちの位置を音符に置き換えると、何とそこからはメロディが生まれてきました。野村仁の作品は、私たちが地球の摂理だけに従って生きているのではなく、万物を統合する大きな力のもとで生かされていることに気づかせてくれます。 V未来へ―自然と科学技術との共生 ならば、その大きな力に直接触れ、交信することは出来ないか。野村仁の果てしない関心は、いくつかの大規模なプロジェクトに結実します。銀河や太陽からの電磁波を受信し、その波を音に変換する《COWARA》(1987年)や、太陽のエネルギーをソーラーカーで受けとめ、アメリカ大陸を横断する《HAAS Project》(1999年)は、アーティストの思考と科学技術とが結び合った新しい美術のあり方を示しています。 W知覚の刷新―新しいコミュニケーションの提案 野村仁は、天空の世界にのみ、万物を結合する大きな力を見出したのではありません。地球上に生きる様々な生命体もまた、そこに内包される小宇宙とも言える摂理によって、野村の関心を強く引き付けています。その生命体とはたとえば植物であり、タコです。彼らが誰に教えられるでもなく備えている色彩の識別能力に着目します。人間も彼らのように色彩でコミュニケーションが出来ないだろか。そのような考えから、大理石の上にさまざまな色彩を配列した野村仁の作品は、まるで石に刻まれた太古の絵文字のようにも見えます。ここにも、人間の知覚を離れて世界を見直せば、大きな力に触れることができるという一貫したテーマが見て取れます。 |
本展覧会は、野村仁の40年にわたる大規模な回顧展になります。その中から2作品を、ご紹介します。 |
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野村仁 (b1945-) 《正午のアナレンマ '90》 1990年 写真 和歌山県立近代美術館蔵 NOMURA Hitoshi The Analemma '90-Noon 1990 Photograph Collection of The Museum of Modern Art, Wakayama |
野村仁(b1945-):現代美術家 1945(昭和20)年、兵庫県に生まれた野村仁(のむら・ひとし)は、1960年代末から、いち早く写真をメディアに「重力」や「時間」を可視化した作品で注目を集めました。 その後、野村の関心は、「重力」や「時間」などがもたらす現象に秘められた普遍的秩序へと向かい、1970年代から今日まで、太陽や月の運行、隕石やDNAの形態、銀河の光などをモチーフにした作品を写真だけでなく、映像や音、さまざまな媒体を使って表現してきました。その意味で、野村はマルチメディア・アーティストの先駆けでもあります。 異なる時空をつなぎ、地球や宇宙を統括する人知を超えた力に気づかせるその作品は、私たちに、人間の存在とは何かを問いかけ、新しい世界観を提起します。 |
野村仁 (b1945-)
1969 京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)専攻科彫刻専攻修了 現在:京都市立芸術大学大学院教授 《Cosmo-Arbor ’06》 1999-2006年 隕石・ステンレス・ミクストメディア NOMURA Hitoshi Cosmo-Arbor '06 1999-2006 |
関連イベント アーティスト・トーク 日時:6月6日(土) 14:00-15:00 「自然は時間と共に真の姿を現わすか」 野村仁氏(出品作家) 講演会 日時:7月12日(日) 14:00-15:00 「時間の知覚」 中原佑介氏(美術評論家) *いずれも会場:国立新美術館3階講堂にて(先着250人) 聴講無料(ただし、本展の入場券が必要です) 解説会 日時:6月20日(土)・7月18日(土) 14:00-14:30 国立新美術館研究員が本展の内容を分かりやすくご紹介します。 *会場:国立新美術館3階研究室にて(先着60人) 聴講無料(ただし、本展の入場券が必要です) *「ルーブル美術館展 美の宮殿の子どもたち」 2009/3/25-6/1 *「光 松本陽子・野口里佳(仮称)」 2009/8/19-10/19 |
お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600 展覧会公式サイト:http://www.nact.jp 主催:国立新美術館 協力:大宝産業株式会社、TIMEDOMAIN Corporation |
参考資料:Press Release、他。 |
※写真撮影は全て、主催者の許可を得て行っております。 |
ご意見ご感想は yashio@mui.biglobe.ne.jp |
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